「篠島」とともに生きる

愛知県渥美半島と知多半島の中間に位置し、
三河湾・伊勢湾に挟まれた篠島は、海の恵み豊かな島。
昭和15年から始まったしらす漁が盛んな島で、
港単位の水揚げは日本トップクラス。
太次平商店も先駆者として常に「篠島のしらす」を牽引してきました。

  • 年間水揚げ3,000t※平成25年度篠島漁協調べ

    春の小女子漁の終わりとともに始まり、
    12月までの約8ヵ月間、しらす漁は続けられます。
    魚を求め、遠くは静岡県境、近くは篠島近海と
    「篠島のしらす漁師」のプライドを胸に漁場へ向かいます。

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    しらすはカタクチイワシの稚魚で、 「鰯」は読んで字の如く、とても鮮度が早く落ちる魚。 好漁場に恵まれている篠島でも、静岡県や神奈川県と違い、 漁から水揚げまでの時間のハンデを持っています。 そのハンデを克服するために考えられたのが、 船上での冷蔵保存技術やオリジナル漁具の開発でした。 漁師同士が情報を共有し、切磋琢磨することで、 水揚げ時の鮮度を他では真似のできないレベルにまで高めました。 まさに「篠島のしらす漁師」の心意気。

  • 出港

    夜明け前、静かに男達が港を後に漁場へと向かいます。

  • ポイントへ

    前日の漁や天候、潮目、水温など様々な情報をもとに、ポイントを探ります。 魚探、GPSなど最新の機器が並ぶ操舵室ですが、決して機械任せにできない経験値がここにはあります。

  • 漁、開始

    定刻。船長の掛け声と同時に、乗組員が一斉に網が投入。 先端にいくほど、網の目が細かくなり、異物(蛸・蝦蛄・海老など)を取り除きながら、 しらすを確実に獲る仕組みになっています。 時間により、魚のいる深度が異なるため、魚群探知機で確認しながら、網の高さもこまめに調整。

  • しらす漁、本番

    約200mに伸ばされた網を二艘の網で曳く「二艘曳き」が篠島のしらす漁。 獲れた魚を運搬船が港に運ぶので、篠島では三艘が一つの船団として行動します。 運搬船が先導し、平行に網を曳き、しらすを追い込んでいきます。 常に無線で、三艘が船の動きを確認し合い無駄のない動きをします。

  • 網引上げ

    全ての網を引き揚げるのではなく、先端部分を交換することで、 時間短縮を図り、鮮度を保つ工夫をしています。 運搬船が、網船の後方に回り込み、目標のブイを手繰り寄せ、 運搬船の乗組員全員でしらすが入った網を引き揚げます。 船上から海に身を乗り出し、魚を取り込む姿は、勇姿そのもの。

  • 船上作業

    水揚げ後、すぐに冷蔵保存するための作業が行われます。大きな桶に一気にしらすを入れ、氷を投入。 この氷の量により、しらすの「形」「色」「味」が左右されます。 魚の量や天気、季節、気温によって氷の量を調整する熟練の技が必要になります。 いくら漁獲量が多くても、魚の保存技術がなければ単価は安くなるし、一度でも失敗すれば、 信頼を取り戻すのに、時間がかかるといわれるほど、この船上作業が命運を握っているといっても過言ではない。 もちろん異物除去はこの段階でも行われています。

  • 漁、終了

    網揚げの時間までこの作業が繰り返されます。 網に入っている魚が少ない場合でも、しらすの形が崩れないように30~45分に一回は網を揚げます。 時間が魚の鮮度を左右するので、網船が網を片付けるのを待たずに運搬船が港を目指します。 船底に収めたしらすは、運搬船が港に運びます。

  • 入港

    男衆は船に乗り、漁に出ているので、いち早く港に戻る運搬船を迎えるのは、漁師の奥さん達、女性陣。 さすが日本トップクラスの漁獲量を誇る港なので、しらすの水揚げに必要な専用機材が揃っています。 流れるようにしらすの入った籠が港に運び込まれていきます。 すぐに競りが開始されます。

五感を研ぎ澄ます

  • 篠島の海とともに80年

    水揚げされたしらすは直ぐに競りにかけられます。
    ここで重要になってくるのが、競り人の目利き。
    篠島で漁師や加工業など漁業に携わる人間は、島民の約8割。
    さらに「しらす」に特化した漁業で成長してきた島だけに、
    ほとんどの人が幼いころから「しらす」を身近に見ているといっても過言ではない。
    そんな中でも競り人は篠島ブランドのしらすを左右する一握りの選ばれし、
    「しらすのプロフェッショナル」なのだ。

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  • 圧倒的な量

    どの船団も同じ漁場で魚を獲ることもあれば、全く別々の漁場になることも珍しくない。 場所により、船団により、魚もそれぞれ違うが 他の港とは比較にならないくらい大量のしらすが水揚げされる

  • 見極める

    次々と水揚げされ、港に活気が満ち溢れる。 しらすを次から次へと固視し、「鮮度」「形」「色」「大きさ」等、様々な角度から、しらすを見極める。 自然と競り人の周りに人が集まり、一挙手一投足に皆が注目する。

  • 競る

    シーズンを通じて、相場価格が3倍近く変動する「しらす」。 他の魚では考えられない程の変動がある。それだけに競り値はシビアになってくる。 得意先との信頼関係にも影響するので、加工場として在庫を切らすことを一番恐れるが、 採算の合わない魚は買えない。普通の加工場ならそう考える。 しかし、太次平商店は、篠島のしらすと生きてきた。その自負もある。 目先にとらわれない、篠島のしらすの「一歩先」を見据え、札を入れる。

鮮度にこだわるから、1秒も無駄にしない

  • 港直結25m

    競り落としたしらすは、フォークリフトで直ぐに目の前の釜揚げ工場へ。
    篠島魚市場は、平成に入り埋立地に移設されました。
    当時から主流だったしらす漁に合わせ、区画整理が行われたので、
    しらす加工に特化した港になり、市場と加工場が直結したレイアウトになった全国でも稀な港です。
    この市場からの距離が、さらなる鮮度の保持に役立っています。

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  • 工場搬入

    入札と同時に、加工スケジュールを作成

  • 撹拌槽投入

    一気に大量のしらすを撹拌し、洗浄

  • 流水洗浄

    ポンプで一気に吸い上げ、流水にて2次洗浄

  • ボイル

    蛇行する全長約60mのボイル釜で釜揚げされる

  • 吸引バルブ

    釜揚げ後、水切りをし、乾燥工程へ ※釜揚げの場合は、専用コンベアを使い、セイロに受け、一次冷却へ

  • 乾燥機

    釜揚げされたばかりのしらすを全長約120m、約20分かけて乾燥

  • セイロ/コンテナ分け

    機械乾燥後、かちり、上乾ちりめんはセイロに取り分けて天日干しへ。 しらす干しの場合は専用コンテナで一次冷却します。

  • 天日干し

    リフトで干場へ搬出、慣れた手つきで素早く広げていきます。 ※上乾ちりめんの場合は、天日干しで仕上げ、商品の安定をはかります。

  • 一次冷却

    乾燥後、一時冷却するために工場内保管庫に保存。

徹底した菌数管理のために

  • 菌数0

    を目指す徹底した品質・衛生管理。

    原料段階から異物を選別し、除去することはもちろん、大腸菌や一般生菌などの検査を全ロットで実施している。
    菌数を減らすために毎日の機械洗浄・メンテナンスに加え、機械メーカーにも部品構造などをオリジナルオーダーし、
    清掃しやすいパーツへと変えたり、工場レイアウトを変更するなど、菌数管理を徹底している。
    そのため鮮度が保たれ、当社が目指す「子どもが安心して食べられる商品づくり」が実現している。

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  • 菌数検査

    異物除去と並行して、太次平商店では、徹底した大腸菌、一般生菌の検査を各ロットで実施しています。製品だけでなくメンテナンス時の機械まで全てが検査対象。自分たちが納得のいく製品を作るためにも自分たちが自信を持って作業できる環境作りに取り組んでいます。モノを作る職人の世界で経験と勘に頼るのではなく、数字とデータに裏付けられた管理を徹底し、安全な商品作りを実現させています。

  • 商品管理

    原料となるしらすを入荷量、品質、在庫、出荷予定、天候、漁など様々な状況を判断し、どう加工していくか工程を組む上でロット票を作成し、管理していきます。どの船団からどのくらいの量を買い付け、どう加工し、どう流通させたかトレサビリティも完璧です。圧倒的な量を扱う太次平だからこそ、データ管理を徹底することが、作業効率と安全を高めることに繋がっていきます。

  • 風力選別

    今では全国のしらす加工場に導入されている機械ですが、元々は太次平商店が次全国に先駆けてメーカーと共同開発した風力選別機です。生産量に応じ、大・小2台の選別機が稼働しています。

  • 目視選別・最終工程・チェック

    ベルトコンベアにしらすを流し、機械でも除去しきれなかった異物を、 エアーで吸い取り、除去していきます。膨大な量のしらすですが、一匹一匹を人の目ですべてチェックしていきます。

  • 金属探知機

    目視チェック後にしらすが集められ、金属探知機で最終確認を行います。

  • カートン詰および発送

    用途により、様々な形態で箱詰め作業を行い発送。